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    いつか日本で活かすためカナダで社会/福祉を学ぶ日々

    Bridging Research and Practice between Canada and Japan

  • カナダ・社会/福祉日記

    トロントの社会・福祉・制度・リサーチ等について書いています。過去の投稿はタブを選ぶか「他の投稿」ボタンを押してお読みください。Social Change Agencyのメルマガに配信した記事を転載している場合は、日付はメルマガ発行日です。数字や法律は当時のものです。
  • 論文・文章

    これまでに書いた文章や論文の一部です。一部はリンクから本文を読むことができます。

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    2022. International Journal of Care and Caring
    This article discusses the overlooked role of recreation programmes in the ethnocultural and cultural-specific long-term care home. The recreational programmes can be considered as a practice of cultural inheritance and community building for minority ethnic groups. By presenting the significant role of recreation workers in a long-term care home, I aim to question the meaning and value of care work in long-term care facilities. 本論ではカナダにおける民族・人種に特化した高齢者入所施設のレクリエーション専門スタッフは、文化継承とコミュニティ構築の一端を担っていることを明らかにしている。それによりケアの意味とその価値とは何かを問うている。本文へのアクセスはこちら(英語)。
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    2022. Asia Pacific Journal of Social Work and Development. Volume32 Issue3, 184-199.
    This study discussed the implications of working precariously in the pandemic under the neoliberal social welfare systems. The non-regular frontline workers (NRs, hired on annual contracts, predominantly female, covering direct casework) in municipal governments expressed intensified stress from the safety risk, long working hours, and insufficient organisational support. Stratified by different types of contracts, resultant tasks, and genders, NRs experienced intensified isolation, leading to burnout. コロナ禍における市役所福祉課の非営利職員の苦悩と日本の非正規公務員の差別構造について。本文へのアクセスはこちら(英語)。
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    2022.4. 『季刊 福祉労働172号』〈特集1〉インターセクショナリティと批判的実践

    2022年の最重要概念「インターセクショナリティ」について。アイデンティティの交差性によって起こる差別・排除の構造を解消するために、支援者に何ができるか。障害女性がおかれた状況や、恋愛・結婚・性をめぐる経験にも焦点を当てた。いかに福祉がジェンダーや性の視点を欠いているか痛感してほしい(現代書館HPより)。

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    Niki, I., Ichikawa, V., Sakamoto, I., Funahashi, K. & Kadowaki, L. (2021).
    In cooperation with researchers from the University of Toronto and Simon Fraser University, a community-led qualitative research study was conducted to explore Japanese-speaking seniors’ life experiences, perceptions towards community involvement and ageing, and service needs. Researchers conducted fifteen semi-structured interviews with Japanese-speaking seniors focused on their narratives and life stories. カナダ・バンクーバー在住の日本人高齢者へのインタビューに基づき、コロナ禍での生活、アイデンティティ、日本人コミュニティや福祉団体との関係など、多様で複雑で時に孤独な生活の実態を明らかにしたレポート。日本語での概要はこちら
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    坂本いづみ・ 茨木尚子・ 竹端寛・二木泉・ 市川ヴィヴェカ
    現代書館(2021.03出版)

    反抑圧ソーシャルワークでは、人びとの「生きにくさ」を構造的な力の不均衡によって生まれるものと捉える。その理論と源流をひも解き、日本の福祉現場での実践可能性を検討。権力構造の是正のために、当事者への共感と自己省察を怠らず、ときに制度や規範への建設的批判や政治的活動をも行う=脱「いい子」のソーシャルワークを始めるための一冊。社会正義に基づいたソーシャルワーク入門書。ご購入はこちら(Amazon)。

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    連載 介護福祉士のカナダの福祉 最新レポート

    月刊ケアマネージメント 2019.12月~連載中

    環境新聞社「月刊ケアマネージメント」にてカナダの福祉 最新レポート連載中。

    サンプルはこちら

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    2020. New Sociology: Journal of Critical Praxis, 1(1), 17-36.

    日本における外国人介護労働者に関わる政策(実習制度に介護を入れることになった経由と、経済特区におけるいわゆるメイドさん受け入れの)決定過程について批判的に論じる。日本の政策は以前は「官僚制」と言われていたが、現在はビジネス界の民間人が政策決定と運用の中心にいる経済至上主義の政策である。外国人労働者を(国際的な流れとは逆光するように)「移民」ではなくいわゆる「短期労働者」として差別的に扱っている。さらに高齢者介護をプロとみなしはじめているのと対照的に、メイドさんのような家事労働者は「単純労働者」としている。しかし「単純労働者という言葉を使わない」というすり替えを使っていることなど。本文はこちら(英語・English)。

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    American Flags in Religious Congregations in the United States 

    Yoshito Ishio, Kevin D Dougherty, Izumi Niki

    2019. Journal of Church and State, Volume 61, Issue 3, 431–450.

    アメリカでは国旗が教会内に掲揚されている。信仰と愛国心が密接に繋がっているのだ。国旗掲揚の傾向は教派によって異なる。本論文では各教派でどのような特徴があるのかを、量的に分析。本文はこちら(英語・English)。

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    2017.10『 世界の児童と母性』(82), 62-66.

    カナダ・トロントの児童相談所の役割を持つCAS。その中に設置された調査研究部門の役割と意義について所長のインタビューと自身の実習体験に基づく報告。本文はこちら(PDF)

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    2017.5 CAST File Review: Final Report

    CAS Toronto (トロント児童相談所)で行った児童虐待の加害者の父親向けプログラムに関する最終レポート。認知行動療法の手法を用いた短期プログラムで父親はどのように変化するのか。本文へのリンクはこちら(英語・English)。

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    2017.3『社会福祉学』Vol.58(1),153-163.

    ソーシャルワークに重要な概念である反抑圧主義(AOP)とは何か。カナダでどのように受け入れられ実践されているのか。本文はこちら(PDF)。

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    2010, 女性労働研究 (54), 106-113

    様々な人材と職種が入り乱れる介護の現場の実態を現場スタッフが本音で描く。本文はこちら(PDF)。

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    2010, 社会科学ジャーナル (69), 89-118

    ネガティブな文脈で語られることの多い感情労働だが本当だろうか。認知症の介護の仕事で本当に大変なのは何か。介護職へのインタビュー調査をまとめた。本文はこちら(PFD)。

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    2015. 『ジェンダー&セクシュアリティ』10, 119-132

    国際基督教大学と虹色ダイバーシティが共同で行ったLGBTに関する職場環境アンケート。差別言動に関する自由記述欄の分析。本文はこちら(PDF)。

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    2012. 女性労働研究 (56), 166-169

    仕事と家庭の両立で悩んできた女性は、震災支援活動やボランティアでも同じように悩まなければならないのだろうか。本文はこちら(PDF)。

  • カナダの社会福祉を理解するキーワード

    Diversity, Anti-oppressive practice, Intersectionality, and more...

    Diversity 多様性

    カナダは人種、民族、宗教など多様な人々が混在する国です。カナダの憲法にも多様性が明記されています。特にトロントは人口の50%以上がカナダ以外の生まれです。カナダ全体で先住民は4%ほどと言われています。

    Intersectionality 抑圧の交差性・重層的抑圧

    多様な人種、民族、宗教の人々が混在するカナダ。目に見える差別だけでなく、既存の価値観をもとにした社会の中では様々な抑圧があるといわれています。intersectionalityという言葉は、様々に折り重なる抑圧を可視化する試みでもあります。

    Anti-oppressive practice(AOP) 反抑圧主義実践

    既存の社会の価値観や認識を疑い、目に見える、目に見えない抑圧に対抗していくソーシャルワーク実践です。当事者が力をつけ、当事者自身が連帯して自らの価値観や必要なものを主張していく、そんなソーシャルワークが求められています。

    カナダの高齢化率と出生率

    カナダの高齢化率は17.5%。高齢化が社会問題になるのはこれからです。逆に出生率は1.6くらい。人口は3,760万人ほど。労働力確保のために移民を積極的に受け入れています。

    医療

    カナダの医療は税金でまかなわれており基本は無料です(歯科、眼科、処方薬以外)。基本はファミリードクター(かかりつけ医)にかかります。医療費削減のためか出産は1泊、大きな病院は紹介状が必要で、検査や手術が待たされるなどの問題もあります。一方、近年、所得に応じて子どもの歯科や処方薬の無料制度が州全体で始まっています(Healthy Smile Program)。

    教育制度

    学校は基本は公立が主流です。オンタリオ州では9割以上の子どもが「オルタナティブスクール」を含む公立学校に通っています。その他、私立学校やホームスクーリングも認められています。一部の専門コースを除いて公立の高校受験はありません。もちろん公立学校は高校まで無料です。
    オンタリオ州は4歳になる年の9月から小学校に付属している幼稚園(キンダーガーテン)にいきます。2015年頃から州内すべての幼稚園で週5日、フルデイ(9時から3時頃まで)になりました。(オンタリオでは、所得が2016年に5万ドル以下の家庭では大学の学費が無料になる制度ができましたが、2018年の保守党ダグフォード氏の首長当選により廃止が決定しました)。

    Master of Social Work (MSW) ソーシャルワーク修士

    オンタリオ州ではソーシャルワーカーは 、学士(BSW)や修士(MSW)が資格となります。なかでもMSWを持っていて協会に登録するとRegistered Social Worker (RSW)となり、カウンセリングや心理療法を行ったり、独立することができるなど活動範囲が広がります。トロント大の大学院(2年プログラム)は、学部の分野を問わず入学できますが、心理学を専攻した学生が半分くらいいます。学部でソーシャルワークを専攻した人は、通常1年ほどでMSWを取得できます。
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    プロフィール/About me

    二木泉・Izumi Matsuzaki Niki

  • MSW, RSW. 介護福祉士。二児の母。日本の社会福祉や介護の現場を良くしたいと、現在カナダのトロントで勉強&実践をしています。

    東京生まれ名古屋育ち。国際基督教大学卒業後、民間企業を経て、国際基督教大学大学院へ進学。博士前期課程修了(行政学修士)。その後、大学で助手を続けながら、研究テーマであった高齢者介護の世界へ進み認知症専門デイサービス、訪問介護、専門学校講師、NPO事務局スタッフなどを経験。お年寄りの持つ魅力と介護の面白さに目覚め介護福祉士を取得。現場経験から日本の介護労働の環境改善の必要性を感じ、2014年より社会福祉組織の運営と人材育成などを学ぶために母子でカナダに留学。トロント大学大学院ソーシャルワークプログラム(Master of Social Work)、Social Service Administration(福祉組織の管理運営)専攻。地域福祉や移民のサポートを行う非営利団体や、トロントの児童相談所のリサーチ&評価部門(Children's Aid Society Toronto内、Child Welfare Institute)にて実習。アジア太平洋研究プログラム(Collaborative Master's Program: Asia-Pacific Studies)を同時専攻し2016年修了。現在はトロントにて日系人の高齢者の方々にレクリエーションを提供する仕事を行っているのと同時に、トロント大学大学院、社会学部博士課程在籍。
    カナダのソーシャルワークや社会福祉・非営利団体についての執筆や研修なども行っています。現在「月間ケアマネジメント」にて連載中。オンタリオ州認定ソーシャルワーカーとして、カナダ在住の日本人の方などからの個人的なカウンセリングやご相談もお受けしています。趣味はドラマ鑑賞、ときどきヨガ、キャンプ、絵を描くこと。
  • MSW, RSW (Canada); Certified Care Worker (Japan)

    I was born in Tokyo and raised in Nagoya, Japan. I have received both a BA and an MA in Sociology from International Christian University in Tokyo, as well as a Masters of Social Work with a Collaborative Masters in Asia Pacific Studies from the University of Toronto. I have worked as a social worker and recreation therapist for Japanese Canadian seniors in Toronto, Canada. I am currently a Ph.D. student at the University of Toronto, Sociology Program. 2022-2025 SSHRC doctoral fellowship/2022-2023 OGS award holder.

     

    Research interest: My research interest is in paid and unpaid care work (elder care and domestic work), labour, gender, and immigration policy, especially in Japan and Southeast Asia.

     

    Present Position: Ph.D. student at the University of Toronto (Canada).

     

    Earned degrees:

    MSW (Master of Social Work), University of Toronto (Canada)

    MA in Public Administration, International Christian University (Japan)

    BA in Sociology, International Christian University (Japan)

     

    Peer-reviewed publications:

    Viveka Ichikawa, Izumi Niki, & Izumi Sakamoto (2022). Working precariously within the social welfare system in Japan during the COVID-19 pandemic: Resilience without resistance among non-regular frontline workers.

    Niki, I.(2020). Policymaking Process for Foreign Care Workers in Contemporary Japan: Changes and Continuation. New Sociology: Journal of Critical Praxis 1 (1), 17-36

    Ishio, Y., Dougherty, K. D., & Niki, I. (2019). American Flags in Religious Congregations in the United States. Journal of Church and State 61 (3), 431-450

    Niki, I. (2017). Anti-oppressive Practice in Canadian Context. Japanese Journal of Social Welfare. 58(1), 153-163.

    Niki, I. (2010). Emotional Labor and Dementia Caregiving. The Journal of Social Science. 69, 89-118.

  • お問い合わせ/Contact

    ご質問・お問い合わせはこちらからどうぞ。カナダ・トロントの福祉・非営利団体についてのご説明(研修・講演)、オンタリオ州登録ソーシャルワーカー(MSW, RSW)として日本語でのカウンセリング・ご相談もお受けしています。Please contact from the form below.