PCR検査を3回受けましたが、今後も受けるでしょう@カナダ

オンタリオ・老人ホームの現場から

· お知らせ

カナダのCOVID-19の罹患者数・死亡者数は、アメリカや他の爆発的に感染している国々よりは落ち着いていると言えるだろう。

とは言っても感染者数は10万人、死亡者数は8500人。オンタリオ州だけでも2600人以上の方が亡くなり、現在も感染者は日々150人ほどである。(2020年7月2日現在)

詳細はこちら:カナダ全体オンタリオ

感染拡大で大きな影響が出たのは老人ホームである。オンタリオ州にある約660箇所の老人ホームの中で300箇所に感染者が出た。

死亡者数は1800人余、スタッフも7人が亡くなっている。COVID-19による死亡者数の約7割である。ひどいところでは230人定員のうち70人が亡くなった施設もある。

当然、高齢者入所施設は万全の体制が取られることとなった。

面会禁止、ボランティア禁止、スタッフの問診、検温、手指消毒の徹底、入所者の検温、マスク着用、風邪症状のある人を対応する際にはPPE着用、などなど。

現在までに、州内全ての高齢者施設入所者にPCR検査が行われた。

さらに、介護スタッフは2週間に1回、PCR検査を行なうこととなっている。私はすでに、検査を3回受けた。

(いずれもすぐに結果をウェブで確認することができる。陽性の場合には電話がかかって来るらしい)

この検査を受けなければ、勤務を継続することはできないのである。

ちなみに病院のスタッフは検査は任意だそう。私の友人はICUに勤務していてCOVID-19に罹患している患者との接触があったため2回ほど自発的に検査を受けたのだそうだ。

3月から続く老人ホームの面会制限であるが、レストランなどの店(パティオ席)やモール、美容院などはすでに再開している。

 

そして6月、オンタリオ州の首長ダグ・フォードは老人ホームの面会を再開すると発表した。

現時点では、面会は一人だけ、屋外、マスク着用、30分以内、そして面会者は面会前にPCR検査を受けること、などである。

オンタリオ州では症状がなくても濃厚接触者でなくても、海外渡航歴がなくても、「心配な人」が全員無料でPCR検査を受けられるようになっているのだ。

現在は、毎日2万5千人ほどの検査を行なっている(オンタリオ州の人口は1400万人)。

日本では福祉関係の実習生の受け入れをどうするかという議論になっていて、学内実習(って何?)に切り替える学校もあるらしいが、

私の施設ではPCR検査を受けて陰性が確認された学生がサマージョブという夏のアルバイトに来はじめた

なるほど、検査を増やす、誰でも受けられるようにするのは、生活を取り戻すという手立てでもあるのだな、と実感する。

現に私は過去3回受けた検査のうち1回は近所の検査センターで受けたのだが、予約不要、待ち時間ほぼなしで受けることができた。隣で受付したお兄さんは「Just for precaution (用心のために)」と検査に来た理由を述べていた。

ちなみにオンタリオではCOVID-19の検査費用、治療費用は医療制度加入・未加入を問わず無料となっている。誰でも躊躇せず検査に行けるようになっている。

https://news.ontario.ca/mohltc/en/2020/03/ontario-expands-coverage-for-care.html

ということで、いつでも無料で検査を受けられるのは心強い。現在、人手不足の老人ホームも、検査を受けた上で、新しいスタッフやサマージョブの学生を採用することができている

 

無論、全ての人が検査を受ける必要はない。全くない。

 

しかしハイリスクな人と接する仕事に従事する人や、感染しているか不安な人が(簡単に無料で)検査できる仕組みが必要ではないだろうか。私個人的には、検査をしていることで「自分が感染させてしまうかも」という不安感が軽減されている。

 

なお、COVID-19の患者を受け入れれば受けいれるほど赤字になるという日本の医療制度の仕組みは間違っている。この話題を聞くたびに強い憤りを感じる。

そして、これまであれだけ「医療費削減が必要!」などと言っていたのに、「(COVID-19によって病院が敬遠され)病院に患者さんが来なくなり大変!病院経営が危ない!」などというのもおかしな話である(まあ、両者は言っている主体が政策面と医療法人と違うのではあるが)。