みなさんの職場では「差別」「ハラスメント」に関する対策や、起こってしまった場合の対応について定められていますか?
といっても「セクハラ」だけでなく、様々な属性に基づく差別やハラスメントを禁止する法律です。
この法律は1962年に初めて制定され、時代により改定され、現在は次の14の属性で、差別やハラスメントが禁止されています。
・祖先・肌の色・人種
・市民権
・民族
・信仰
・障害の有無
・家族形態
・婚姻の有無(独身含む)
・性別自認・性別表現
・公的補助の有無(住居において)
・過去の犯罪履歴(雇用において(注:教育、福祉や医療関係など、一定の職業は別))
・性別(妊娠・授乳を含む)
・性別指向
この法律を管轄しているOntario Human Rights Comissionでは、ハラスメントとは何か、ハラスメントがおこならないようにどのようにすればよいか、起こった場合にはどのようにすればよいかなどを細かく明記しています。
例えばセクハラに関する項目は2011年に追加されました。
そこには、セクハラとは「性的なジョークや不適切な発言を行う、ハグを要求する、デートや性的関係を迫る、体に触る」などの明白にセクハラとなるであろうというものだけでなく「職場でジェンダー規範に基づく服装を要求する、パーソナルスペースを侵害する、『性別役割のステレオタイプに合っていない』という理由でひどい扱いをする」などが挙げられています(※1)。
このように、セクハラは生物学的性だけでなく、社会的性別「ジェンダー」に基づく差別も含みます。例えば、こんな例も挙げられています。
これもOntario Human Rights Codeの規定するセクハラに入るのです。
さらにセクハラなどのハラスメント防止のため、職場でハラスメント禁止を明示する「規約」などを作成することが求められています。
またセクハラが起きた場合には、組織内の人事担当者や組合に相談する以外に、外部のオンタリオ州人権仲裁裁判所(Human Rights Tribunal of Ontario)に訴えることもできます。その場合に は、人権リーガルサポートセンターという支援組織(The Human Rights Legal Support Centre)もあります。
なお、セクハラを含むハラスメント事案は、オンタリオ労働省の「労働衛生と安全に関する法律」に基づいて対処することになります。(Ministry of Labour, The Occupational Health and Safety Act.)
この法律は、雇用者は労働者の安全を守るために、ハラスメントの防止や対処を含む必要な手立てを行わなければならない、とされているものです(※2)。
ハラスメントが行った場合、加害者だけでなく、職場の責任が問われることにもなるのです。
Ontario Human Right Codeは職場におけるハラスメントだけでなく、社会の様々な場面の差別を禁止しています。
先日、日本政府は外国人労働者の受け入れ数を増やすという方針を打ち出しました。
障害があるから・年齢が上だから・外国人だから家を借りられない、外国人は銀行口座を開けない(漢字がかけないとダメなど)、などの例をよく聞きますが、それらもOntario Human Rights Code基準では行ってはいけない差別=「違法行為」になります。
https://www.ontario.ca/laws/statute/90o01
http://www.ohrc.on.ca/en/ontario-human-rights-code