組織を変える8つのステップ(5)

子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol. 70ソーシャルワーク・タイムズ vol.126

· 組織論

組織を変える8つのステップ(1. 危機感を作り出す、2. 仲間づくり、3. 必要性の明確化、4. 現状認識、5. 計画を立てる、6. 人的要因への対応、 7. 迅速対応と修正、8. 評価と称賛)についての第5回目、ステップ4「現状認識」です。 

ところで、この組織を変える8つのステップは、ごく身近な事例(たとえば夫婦間の関係改善など)でも使えるのではないかなと思っています。例えば夫婦関係など。

例えば我が家でよく起こっていたのは、夫婦の間での認識の違いにより引き起こされる不和です。

特に子どもが生まれたり成長したり、転職や転居などでライフステージが変わると、家事や育児の時間が劇的に変わります。我が家では、ライフステージの変化に伴う生活時間の変化の際に、その都度話し合うのではなく、そのままなし崩し的に生活してしまっていました。そのために、必要以上にお互いに不満や心身の疲労がたまっていたような気がします。

今考えると、夫婦だからわかってくれてるはず、という思い込みがあったのですが、実はお互いの状況や負担感が全然伝わっていなかったり、自分ばっかりと思っていたり、一方で自分はやってると思っていたり。。。

この8つのステップなどを使って、例えば前回のステップ3「必要性の明確化」で行ったようにお互いの人生や夫婦の「ビジョン」やそれに伴う必要なことを話し合う機会をもてていたら、今が違っていたのかなぁ…なんということも思ってしまいました(過去形になってしまいましたが、今後やってみるのもいいかなと思っています(笑))。

さて、そんな身近な関係にも使える(?)組織を変えるステップ8ですが、今日は4番目「4. 現状を正しく認識する(Assessing the present)」をご紹介します。

前回は、組織を変えるメンバーとなる仲間と一緒に、変化の必要性やビジョンを明確にしました。目的がはっきりしてしまうと、いよいよ次は実行!と思うのですが、もう少し待ってください。まずは変えたいと思う組織全体をアセスメントして、実態を正しく認識する必要があります。その際にはスタッフが現状をどのようにどのように捉えているのかを知ることが大切です。

把握する項目は次のようなものがあります。

・組織の文化(カルチャー)と価値観

・組織のポリティクス(力関係)と手続き

・マネージメントの方法、管理方法

・ITや技術面

・組織の成り立ちや形態

・組織のシステム(報酬(とその決め方)、人材の管理や評価の方法など)

・メンバーのスキルレベル

アセスメントの方法は、アンケート調査や対面での聞き取り、グループで集まって座談会形式で自由に話してもらうなどがあります。なるべく自由な意見が出やすい方法がよいでしょうね。全員を対象としたアンケート調査後に、気になるテーマを絞って聞き取り調査してもいいですね。

各項目の中で可能なものは、数値で可視化すると良いと思います。その場合、変化した後の達成目標も数値で決めると分かりやすいですね。

例えば「組織の他職種連携を強化する」を目的とする場合、スタッフから現状を聞き取りします。たとえば数値で評価したい場合には「10が最高、1が最低として、現状の点数をつけてください」と聞きます。変化後の目標はもちろん「最高点(10)」が理想的なのですが、さすがにそれは難しいのでメンバー間で合格点を設定します。

なお、数値での評価する場合でも、必ず「自由記述」の欄を作るなど、設問や選択肢にとらわれない意見を聞ける機会を設けてください。予想もしない答えが「自由記述」に入っているかもしれません。(例:他職種連携についての考え・意見・より進めるために必要な事・阻害している要因など)

正しく現状を認識することは、組織の弱みだけでなく、強みも明確にしてくれるはずです。また変化後に、どの程度それが成功したかのベースライン(基準値)ともなりますので、正しく現状を把握をするようにしてください。

私は前回のステップ3の「ビジョンを作る」過程と、4の「アセスメントをして現状を正しく把握する」が、逆になっていいのではないかな、と思います。「何か問題や不満がありそうだけど、よく分からない」ということがあると思うからです。

このプロセスは、各自でアレンジして取り組んでみてください。では次回「計画を立てる」でお会いしましょう。